裏腹な彼との恋愛設計図
甘酸っぱい思い出に浸っていた私の意識は、手元に目線を落としたまま突然発せられた柊さんの声で、現実に引き戻される。
「鈴森は何でこの会社に入ったんだ?」
「……え?」
「前は大手にいたんだろ。それなのにどうしてこんな小さな会社に?」
彼の方から私のことを聞くなんて珍しくて、また手が止まってしまう。
「前んとこじゃ、こんな面倒な手作業しなかったんじゃないか」
「あ……そうですね。カタログや資料はすでに出来てたし、自分達で作るってことはなかったなぁ」
ミライトホームは費用をかけない分、自分達で出来ることはやるというスタンスだから、結構大変なことも多い。
「でも、私はこういうの好きです。手間が掛かるけど、その分ちゃんとお客さんに真心を届けられそうで。
この会社に入ったのも似たような理由ですよ。ここの方が、もっとお客さんと濃く深く繋がれると思ったから」
丁寧に封をしながらにこりと笑ってみせると、柊さんの表情も少しだけ柔らかくなった気がした。
もしかしたら、私に厳しいことを言ったのは、大手の会社とこことの違いをわからせて喝を入れるためだったのかも。
「鈴森は何でこの会社に入ったんだ?」
「……え?」
「前は大手にいたんだろ。それなのにどうしてこんな小さな会社に?」
彼の方から私のことを聞くなんて珍しくて、また手が止まってしまう。
「前んとこじゃ、こんな面倒な手作業しなかったんじゃないか」
「あ……そうですね。カタログや資料はすでに出来てたし、自分達で作るってことはなかったなぁ」
ミライトホームは費用をかけない分、自分達で出来ることはやるというスタンスだから、結構大変なことも多い。
「でも、私はこういうの好きです。手間が掛かるけど、その分ちゃんとお客さんに真心を届けられそうで。
この会社に入ったのも似たような理由ですよ。ここの方が、もっとお客さんと濃く深く繋がれると思ったから」
丁寧に封をしながらにこりと笑ってみせると、柊さんの表情も少しだけ柔らかくなった気がした。
もしかしたら、私に厳しいことを言ったのは、大手の会社とこことの違いをわからせて喝を入れるためだったのかも。