裏腹な彼との恋愛設計図
私も柊さんのこと聞いてみたいな。こうやって二人で話すの初めてだし。


「柊さんは? どうしてこの会社に……っていうか、どうしてこの仕事をしたいと思ったんですか?」


インタビュアーのように尋ねると、一瞬動きを止めた彼は、再び手を動かしながら面倒臭そうに答える。


「……何だっていいだろ」

「え。人に聞いといて自分は教えてくれないんですか?」


ちょっぴり嫌味を言ってみると、彼は眉間にシワを寄せる。

やば、調子に乗りすぎ?

また怒られるかと思って身構えるも、仏頂面の彼の口から出たのは意外過ぎる単語。


「……マイ・スウィート」

「へ?」

「マイ・スウィートって映画を見て、だよ」


──うそ。

ドキン、と心臓が一つ音を鳴らし、私は目を見開いた。


「本当ですか!?」

「何だ、急に鼻息荒くして」

「だって、私も同じだから!」


私の言葉に、柊さんも驚いたように目を丸くした。

用紙を持つ手に思わず力が入って握りしめてしまう。

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