裏腹な彼との恋愛設計図
二階では今日もお客様との打ち合わせが行われている。
午後イチで来たのは、三歳くらいの男の子と、まだ小さな赤ちゃんを抱く四人家族。
まだまだ土地探しをしている段階のお客様だ。
「こんにちは」
「こんにちは。お待ちしておりました。どうぞお二階へ」
笑顔で接客する柊さんは、いつものドSっぷりなど微塵も感じさせない。
午前中から打ち合わせ続きでほとんどオフィスに来ない彼。
普段見せないあの笑顔をずっと作っていて疲れないんだろうか……。
なんて、私が勝手な心配をしている間にも、さっそく打ち合わせスペースで話し始める柊さん達。
お茶を用意して二階へ上がると、地図を見ながら話している最中だった。
「この辺りは来年商業施設を作る予定らしいので、かなり住みやすくはなると思います」
「あぁ、噂は聞いてたけど本当なんですね」
「スーパーや映画館が出来るとかって話ですよ」
「へぇーすごい!」
どうやらさっそく瀬川さんが仕入れてきた情報を出しているみたいね。
しかもやっぱり映画館の話題になって、私はお茶を出しながらクスッと笑いをこぼした。