裏腹な彼との恋愛設計図
「昔好きだった人は、もう関係ないよ。これからは、そうだなぁ……将来を見据えて付き合える人がいいかな


結婚して、子供が出来て、年を取って人生を終える。

そこまでの設計図を、一緒に作っていけるような人がいい。

矢城くんは納得したように小さく頷くと、目を伏せて独り言のように呟いた。


「……紗羽さんに相応しい男になりたいな」


実感のこもった声に、私は何故だか申し訳ない気持ちになる。

どうして、私なんかのことをそんなに想ってくれるんだろう。

……私は、彼の気持ちに応えられる?



食事をしながら色々な話をして、矢城くんの人となりをだんだん理解してきた。

やっぱり彼は優しくていいコで、決して恋愛対象外ではない。付き合ったら幸せだろうな、とも思う。


けれど、私は気付いてしまった。自分の気持ちがそこまで盛り上がらないことに。

これからデートを重ねたとしても、これは変わらないような気がする。

彼との未来を、しっかりと思い描くことが出来ないんだ。


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