裏腹な彼との恋愛設計図
「あー美味しかった~! お腹いっぱい」
「映画見ながら寝ないでくださいよ」
「大丈夫だって」
レストランを出た私達は、笑って話しながら映画館に向かって歩き出す。
私よりは背が高いけれど、男の人にしては小柄な矢城くん。並んで歩いていても不思議と安心感がある。
「紗羽さんはどんな映画が好きなんですか?」
「私はグロいの以外何でも見るよ。恋愛モノもファンタジーも、ホラーも結構平気だし」
「ホラー平気なんですか!? 俺ダメなんすよ……ちょっとショック」
「そうだろうと思った」
あははと笑う私に、矢城くんはがっくりとうなだれる。
可愛いなぁ、ほんと。なんて言うか、イケメンな弟を連れて歩いている気分。
……あぁ、そうだ。
私はやっぱり、彼のことを弟のように思ってしまっているんだ。
一緒にいると楽しいけれど、いまいち気持ちが盛り上がらないのはきっとそのせい。
このこと、矢城くんにはっきり伝えておいた方がいいよね?
また期待させちゃったらいけないし……。