裏腹な彼との恋愛設計図
ヒノキの家で名誉の負傷
「……ちょっと~、また空気がおかしなことになってるわよ?」
「だな」
翌日、お昼休憩が終わろうとしている時。
私の前のデスクで気怠げに頬杖をついた絵梨子さんの言葉に、その横に立つ古賀さんが頷いた。
「今日の矢城、俺が紗羽ちゃんの名前出すだけで何故かキレてくるんだよ」
「そうなの? 紗羽ちゃんだってなんか魂抜けたみたいになっちゃってるものね」
色々と考えていたらあまり眠れず、目の下にクマを作った私は、二人の会話を耳に入れながらため息をつくだけ。
今、矢城くんは休憩がてら現場に向かっているため、ここにはいない。
さっきも普通に接しようとはしたものの、どうしてもぎこちなくなってしまった。
そんな様子に、絵梨子さん達が気付かないはずがない。
「紗羽ちゃん、今日飲みに行こうぜ。そこで全部吐き出しちゃいな」
「あの……すみません、今日はちょっと寝かせてほしいと言うか……」
「寝れないほどのことがあったの? 余計気になるじゃない!」
焦らされた絵梨子さんは、うずうずしているように身体をくねらせた。