裏腹な彼との恋愛設計図
「よかったな、俺はMの性質は一ミクロンも持ち合わせてないから」

「あ、あはは……。相性いいかもしれないですね~私達……」


ぎこちなく笑いながらそう返すと、柊さんは表情一つ変えずに、さらりと言う。


「相性……試してみるか? ベッドで」

「ほぇ!?」


な、何を言い出すの柊さん!!

決してそっちの相性のことを言ったわけでは……!!


さらに顔を沸騰させていると、彼は心底呆れたように、けれどちょっぴり面白そうに目を細めた。


「冗談に決まってるだろ。バカでドMな女はからかい甲斐があるな」

「そ、そんなにMを連呼されると恥ずかしいんですけど……」


がっくりと脱力する私。

でも、からかわれてほんの少し嬉しくなってる私は、やっぱりどうしようもない。


そんな私はさておき、柊さんはオフィスのカウンター越しにある正面玄関に向かって歩いていく。


「じゃあな。しっかり戸締まりして帰れよ」

「あ……待っててくれたりしないんですね……」

「駅は歩いて十分だし、この辺りで変質者が出た話は過去一度も聞いたことがないから心配するな」

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