裏腹な彼との恋愛設計図
甘い彼を想像して悶えたくなると同時に、冷たくされっぱなしの私にはそんな可能性は微塵もないと思い知らされたようで、力が抜けていく。


古賀さん達が「嘘つけー」と笑う中、人知れずがっかりする私は、柊さんと目が合ったものの、ふいっと逸らされてしまった。

なんかいつにも増して冷たいような……や、いつもあんな感じか。

当然だよね、彼女らしき人だっているんだから。私の存在なんてどうだっていいはず。


けれど、そう考えて想像以上のショックを受けている自分に、やっぱり恋しているのだと実感した。


「おーい、誰かこの荷物運んどいてくれー」


ふいに、玄関の方から社長の声と段ボールを置く重そうな音が聞こえてくる。

「ういーす」と言って古賀さんが歩いていき、絵梨子さん達もそれぞれ仕事を始めた。


矢城くんとの話が逸れたのはいいけど、私の気分が上がることはない。

矢城くんの想いを受け止めることが出来ていたら、きっと今頃浮かれまくっていただろうに。

どうして私は、柊さんのことを好きになってしまったんだろう──。


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