裏腹な彼との恋愛設計図
でも、いくらときめいたって無駄なんだよなぁ……。

ビジネスバッグを胸に抱きしめ、はぁぁと深いため息を吐き出していると。


「……鈴森?」


私を呼ぶ柊さんの声が聞こえ、運転席側へと顔を向ける。

すると、助手席に片手を掛けた彼が、思いのほか近距離で私の顔を覗き込んでいて、心臓が飛び跳ねた。


「どうした、酔ったか?」

「えっ!?」

「なんか具合悪そうに見えたから」

「あ、い、いえ! 全然平気です!」


珍しく心配してくれているような優しい言葉に、私の胸はさらにきゅぅんとしてしまう。

しかも、綺麗な瞳で私を見る彼の顔が近付いてきて……

……って、えぇっ!?


「ひ、いらぎさ──!?」


目を見開き、心臓をバクバクさせる私に彼が手を伸ばす。

思わずシートに背中を押し付けて硬直していると。


「……だったら早く降りろ、どアホ」


いつもの冷たい視線を突き刺され、抱きしめていたビジネスバッグをひったくられた。

……あ、そういえばこの柊さんのバッグ、持たされてたんだっけ……。

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