裏腹な彼との恋愛設計図
リビングに移動して救急箱を取り出し、ラップを絆創膏で止めていく。

痛々しい傷……

こんなふうにしちゃって本当に申し訳ないと罪悪感が襲う。


「本当にごめんなさい、私のせいで……」

「だから、これくらいどうってことない」

「でも──」

「お前に怪我させるよりマシだ」


──柊さん……

そんな言葉を掛けられるとは思わず、彼を見上げた瞬間。

涙袋に小さな小さな黒子があることがわかるほど近くに彼の綺麗な顔があって、ドキンと大きく心臓が跳ねる。


そうだ……手当てすることに必死で忘れていた。

今、この部屋に柊さんと二人きりで、しかもこんなに密着しているんだ。


それに、急に優しい言葉をくれるんだもん……

私、ヤバい。どんどんこの人のことを好きになってる。


変に意識してしまい、早鐘を打つばかりの胸を抑え、再び彼の腕に目線を落とす。

ラップの上から包帯を巻くのだけれど、緊張で上手く手が動いてくれない。

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