裏腹な彼との恋愛設計図
心の中で言い訳する私を、柊さんは猜疑の目で見据える。


「矢城を弄んでたとかじゃねーの」

「何でそうなるんですか! そんなことしません!」


やっぱりこの人ひど過ぎるー!

巻いていた包帯をきつーく締めてしまいそうになりながら、あの時のことを思い出す。


「……柊さんも、女の人と会ってましたよね?」


ちょっとした仕返しも兼ねて、ずっと気になっていたことを聞いてみた。

チラリと目線を上げると、彼は驚いたように一瞬目を泳がせる。


「……見てたのかよ」

「はい……見たくはなかったけど」

「え?」


こら、何を口走ってる私!

咳払いでごまかし、一気に核心に迫る。


「し、親しげにしてた気がするけど、彼女ですか?」

「……いや。そんなの昔のことだ」


昔のことって、じゃあ……あの人は元カノってこと?

彼女じゃなくて少しホッとするけれど、深い付き合いがあったのだと思うと、やっぱり胸が苦しい。

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