裏腹な彼との恋愛設計図
「っわ──!」


腕から離れようとしなかった私は、そのままバランスを崩し──柊さんの胸に体当たり。


息が止まる。

今、お互いの鼻先がくっつくくらい近くに、彼の顔があるんだもの。


……動けない。動きたくない。

だって、彼も胸にぴたりとくっついた私を離そうとはしないから。


色気を帯びた瞳に捕らえられ、ドクンドクンと、心臓がありえない早さで脈打つ。

ふいにそっと顎に手を添えられて、鼓動と連動するようにビクンと肩が跳ねた。


「……誘ってんの?」

「……え」

「キスしてほしそうな顔してるけど」


かぁぁっと耳まで熱くなる。

や、やっぱり顔に出てた?

だって、そりゃもちろんしたいですよ! 好きな人がこんなに間近にいるんだから……!


でも、そんなことバカ正直に言えるはずもなく、押し黙っていると。

彼は手を添えたまま顔を傾け、半開きの艶めかしい唇を近付けてきた。


え、え、まさか、本当にキスを──!?

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