裏腹な彼との恋愛設計図
最低男とオフィスで再会
完成見学会は、マイホームを夢見るたくさんの家族が来場してくれた。
まっさらで新築独特の香りが漂う家の中を、主に説明しながら案内するのは社長と柊さん。
土日は工事も行われないため、古賀さんや矢城くんも会場に来て、建築のことを説明してくれる。
私達女性陣は、テントの下で来てくれた皆さんにパンフレットや飲み物を渡したり、社長達のサポートをしていた。
興味津々な様子のお客様に、私もなんだか嬉しくなる。
……けれど、どうしても目で追ってしまうのはやっぱり柊さんだ。
今日はワイシャツを捲らず、その下に包帯が巻かれた腕を隠している。
朝会ってすぐ怪我のことを聞いたけれど、『大丈夫だ』と言われただけで、他には何の会話もしていない。
何とも思ってないのかな、昨日のこと……。
人の波が途切れたので様子を見に家の中に入ると、柊さんは小さな女の子連れの家族と話している。
彼はおもむろにしゃがむと、警戒するようにお母さんの後ろに隠れる女の子と目線を合わせた。