裏腹な彼との恋愛設計図
あの笑顔に頭ポンポン、めちゃくちゃ萌えます!!

なんて羨ましい……私もされたい! 絶対されないだろうけど!


いつもの接客を見てても思うけど、柊さんって子供好きなのかな?

接し方が上手というか、子供心をちゃんとわかっているというか。

とにかく、普段の冷た~い彼とのギャップに、私はノックアウト寸前──


「さーわーさん……」


うっとりしていた私は、じめじめした声に背後から捕われた。

バッと振り向くと、じとっとした目で矢城くんが私を見据えている。


「や、矢城くん?」

「もーあの人のこと見すぎですよ! まったく人の気も知らないで……!」

「ごごごごめん」

「で? 昨日はあれからどうなったんですか!?」


お怒りモードの矢城くんにずいずいと玄関に追いやられた私は、その質問にドキリとする。けれど。


「……別に、何もなかったよ」


キスされたわけでもなければ、告白したわけでもない。

何もなかったんだ、表面的には。

ただ彼と接近して、私が勝手にドキドキしていただけ。

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