海ホタル
130円を挿入し、コーラがガタンと落ちる。
ただコーラがガタンと落ちただけなのに、寂しい。と思った。

「あれ、プリンちゃんじゃん」

聴き慣れた男の声が耳をくすぐった。
胸がジワリと音を立てて。
「またあったな。」
「そうですね」
「ジュース買ってないで早く帰れよ。１５歳」
まるで子供に話しかけるかのように彼はにっと笑った。
「言われなくても帰る」
こういう人間が一番嫌いだ。いいや。
苦手なのだ。
ただ
寂しさを隠す人間が苦手だ。
孤独を隠す人間が一番嫌いだ。
笑いながら泣き叫ぶやつの鳴き声が一番うるさい。


正直になって生きなきゃ人間は嘘を塗り重ねるしかもはや何一つも手立てはない。
一切ない。



汚くならなきゃ、生きていけない。


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表紙・目次

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