海ホタル
「さーわー、早く行こう、うちのカカァに怒られるー」
窓の下で翔子が叫んでいた。

翔子に向かって
「今からいっからぁ、まってー」
と、なんだかだるそうに言ってしまった。
今日は翔子の家で面接の日。
翔子ママのスナックでバイトするようになったからだ。

家賃5万のボロボロアパート3LDKに父、祖母、わたしで住む。
とても人を呼ぶくらいの整備なども整っておらず、隣の部屋は事故物件で1万で借りられる。
父は歯磨き粉を作る工場で働いていて年金暮らしの祖母だから、うちはかなりのボンビー家族で。
スナックのバイトは、ましてや女子高生には時給1100円というなんとも美味しい話だった。
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表紙・目次

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