海ホタル
「どうしたんだよ」

あの雨の日のように
彼はあたしの顔を除き
あの朝のように
安っぽい香水の匂いを漂わせて
意地悪な唇で
優しい表情で
寂しそうな目で

囁いた。


ただただ涙が溢れ出てくる。
今まで我慢してきてたなにかが涙に溶けている気がして気持ちが良かった。


「泣き虫だなぁ」

と、また彼の優しい声が聞こえて

優しくわたしの身体を包んだ。





ごめんなさい。
また寂しい日々が続いてもいいです。
今はこの人に


この人と


このままでいさせてください。


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