On the way
「そう、だな・・」
何を怯える事がある?
何を怖れる事がある?
こんなにも深く真っ直ぐに愛してくれる人がいるというのに。
彼女から離れられなくなる?
次の逢瀬までの時間が長くなっただけだと思えばいい。
3年が短い時間じゃない?
長いか短いか。それを決めるのは自分自身。
長さを感じないほど日々を充実させればいい。
待たせるのが傲慢?
何を今更。こうなることがわかっていながら
彼女を抱きしめた時点でもう充分傲慢だったじゃないか!
開き直りと笑うなら笑えばいい。
誰に何を言われても構わない。
俺はもう逃げない。怖れない。
「はるか」
俺が君を想う気持ちを信じて、君が頑張るというのなら
俺は、君が俺を想う気持ちを支えにして強くなろう。
「俺だけを想っていてくれ」
「毎日想うわ。今日も明日も明後日もずっと。
だからあなたも 私だけを好きでいて」
「ああ・・・朝も昼も夜もお前を・・お前だけを愛している」
何度彼女に名を呼ばれ、何度彼女の名を呼んだだろう。
愛を伝える言葉をどれほど繰り返しただろう。
触れ合い高まる熱に身も心も溶けてしまいそうなほど
甘く切ない時の中で 声が枯れても伝えずにはいられなかった想いと
感触を残像として身体に深く刻み込み 濃く焼き付けて
俺は日本を発った。