彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「なんて読むのよ、あの名前?」
ギラギラの特攻機に、漢字3文字が刺繍されていた。
『堕』と『裏』と『亞』の3文字。
ハッキリ言って、読めない。
(今流行りのキラキラネームかもしれない・・・・。)
〔★ヤンキーは難しい漢字を使いたがる★〕
「まずいな~どうしよう。」
このままでは、彼らともご対面してしまう。
道のど真ん中で、単車を止めていては、絶対にからまれる。
(瑞希お兄ちゃんからは、『悪いことしてないなら逃げるな!』って教えられてるけど・・・この場合、隠れた方がいいよね・・・?)
そう思って迷っていたら。
パラリラ~パラリラ~!
「げ?」
背後から、うるさいコールが聞こえた。
(嘘!?半同盟も追いついてきた!?)
いいえ、音からすれば、まだここまで来るのに時間がかかる。
むしろ、漢字3文字のチームの方が先に来てしまう!
(どうしよう!このままじゃあ、鉢合わせになって面倒くささが倍増―――――!?)
「・・・・・・・・待てよ。」
そこまで考えて、ハッとする。
「・・・・・・・はち合わせにした方がよくない・・・・?」
頭の中に浮かんだ作戦。
それを実行するのは可能だけど・・・・
「・・・・・・相手の出方次第よね?」
もしも。
前方からきているチームが、良いチームだったら。
この案は削除することになる。
だけど、今夜であった連合や何とか会と同じなら―――――――――
「使える。」
何もしていない私に、一方的に絡んでくるならば――――――――
「使えばいい。」
ドキドキと、激しく心臓がなる。
シルキロールを口元からずらす。
「すーはー!」
深呼吸して、息を飲み込むと、再び鼻からすっぽりと覆った。
――――――――ブロン!!
そして少しだけ。
少しだけバイクを動かす。
「おい、見ろ!」
「道のド真ん中に、なんかいるぞ!!」
単車の位置を、完全に中央へと移動させる。
たすきを巻いた旗を肩に乗せ、ブンブンとなりながらやって来た青色の特攻服の野郎どもを出迎えた。