彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「大野さん!」
そんな大男に向かって、私に絡んできた1人が大野と呼ぶ。
(今までの流れから考えると・・・・こういう場合、大体が『責任者』なんだよね~)
「・・・君が、このチームのボス?」
「だったらなん――――――――お前っ!?」
単車を止めた大男が目を見開く。
どこを見ているかわかっていた。
わざわざ、4代目総長の文字が見えるように腕を出していた。
そこへと注がれる視線を自覚しながら言った。
「こんばんは。」
夜のあいさつ。
でも、相手は答えてくれない。
『時間稼ぎ』にはちょうどいいと思いながら、単車の上で上体をひねる。
「星がきれいだから、今夜は夜更かししてるんだ、俺。」
「ううっ!?そ、その背中・・・・!?」
見せつける。
彼らに背中の文字が見えるように振り返った。
「りゅ、龍星軍!?」
「ピンポーン♪今夜、新登場デビューしたんです。」
「「「「ええええええええええ!?」」」」」
私の返事に大野と言う男を含めた全員が絶叫する。
(そこまで驚かなくても・・・・・そんなにすごいかな?)
〔★凛は受け継いだチームの価値がわかっていない★〕
(まぁ・・・・瑞希お兄ちゃんがすごいって言われてるようなものだからいいけど。毎回こういうリアクションは疲れるなー)
相手の態度が変わったことに冷めたけど、総長としてビシッとしなければいけないことはわかっていた。
だから、ちょい悪男を演じながら言った。
「今夜の総長デビュー、やる気で出撃したはいいけどさ、『仲間』が追い付いてこなくてね~赤信号だから遅れてるのかもしれない。」
「そ、総長デビューだと!?テメー、マジで噂のジャックフロストか!?」
「僕は日本人だよ。そんなハイカラな名前じゃない。」
「あの凛道蓮か!?」
「他に、凛道蓮がいるの?」
「うっ!」
ジロッとニラめば、上体を少しだけ後ろに下げる大野。
その顔を見つめながら言った。
「龍星軍4代目総長、凛道蓮というのは俺のことだ。」
「ほ、本物・・・・!」
「真田瑞希さんを含む5名から、4代目の公認をもらってる凛道蓮は俺だけだ。まだ疑うのか?」
「・・・・いや、俺は別に・・・・」
返事に困る相手を、ふっ・・・・と、鼻で笑う。
悪い男を演じながら聞いた。