彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
こうして会えたのだから、返さなければいけない物がある。
「これ・・・お借りしたバンダナです。借りたままになっていたので・・・。」
泣きたくなる気持ちを振り払って、ビニールで梱包された布を差し出す。
「それは・・・!?」
戸惑う瑞希お兄ちゃんの代わりに、他のお兄さん達が言った。
「「「「瑞希のバンダナ!!」」」」
「え?俺の??」
予想外の者達からの予想外の反応。
(瑞希お兄ちゃん以外は、覚えてた・・・?)
もしかして、トレードマーク的な品だったのかと思った。
「どっからどうみても、お前の持ちもんだろう!?」
「瑞希の使ってたバンダナだな。」
「しかもこれはー・・・」
百鬼と、眼鏡と、綺麗なお兄さんの後で、顔をゆがめた男前が言った。
「俺が誕生日プレゼントにやったやつ!」
「え?誕生日?」
(え!?誕生日!?)
キョトンとする瑞希お兄ちゃんと私。
「た、誕生日というのは・・・!?」
「そーだよ!!」
そう言いながら、私からバンダナを奪ったのは煙草をくわえた男。
「俺が瑞希の誕生日にやったバンダナだ!!」
「ええええええええ!?」
〔★凛に痛恨の一撃★〕
〔★バンダナは、瑞希の物ではなかった★〕
「瑞希お兄ちゃんのじゃなかったの!?」
「瑞希のだけど、俺が買ってやったの!」
追い打ちをかけるように言う男前。
(そんな!!瑞希お兄ちゃんが自ら購入したものだと思って、大事にしてきたのに・・・!)
「おいおい!なくしたって言ってたけどお前、貸してたのか!?このガキに!?」
「ああ、オメーから、もらったんだっけ?」
「忘れるなよ!間違いないわ・・・これ、オリジナル限定のやつだったから・・・!」
確かめるように、布に記された数字を見る男前のお兄さん。
瑞希お兄ちゃんのプレゼントだったとなると・・・
(複雑・・・)
意外な事実の発覚に、何とも言えない気持ちになった。
「オメーからもらったとかは、いいとして~」
「よくねーぞ!?」
咳払いすると、瑞希お兄ちゃんは私を見ながら言った。
「お前、6年間ずっと・・・・大事にしててくれたのか?」
「・・・・はい。」
「クリーニングまでかけて、大切にしてくれたのか?肌身は出さず?」
「・・・はい・・・・!」
何度も念入りに聞くなんて・・・
(気持ち悪がられてるかな・・・)
覚えてない相手が、何年も、自分の持ち物を持っていた。
持ち歩いていた事実。
「す、すみません!気持ち悪いですよね・・・・?」
悪くも取れる意味に、拳を握ってうつむきながら返事を待つ。