彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
お腹の底から声を出した。
「龍星軍出撃!!」
「「「「「おおーう!!」」」」」
バウゥウウ―ン!!
4代目総長としての出発宣言。
地面から足を離し、単車にすべてをゆだねる。
私が出発したのに続き、右に烈司さんと烈司さんが、左にモニカちゃんと百鬼が並んで走る。
というか、私と瑞希お兄ちゃんを囲んで走る。
バウン、バウウウウウウン!
ヴォーン、ヴォ―ン!!
バルバル、ババババ!
フォーン!フォーン!
ババババババ!パラリラリラー!!!
「瑞希お兄ちゃん、大丈夫ですか?」
風邪を切りながら後ろのお方に聞く。
「俺は大丈夫だ。つーか、俺の命は凛の運転にかかってんだぞ~?しっかりしろよー?」
真面目に聞いてるのに、茶化しながら言われた。
「そ、それはそうですけど~!」
(まぁ・・・実際問題、その通りなんだけどね。)
目だけで後ろを見た時、瑞希お兄ちゃん以外もついでに見えた。
(反凛道蓮同盟の皆さん・・・・)
遠ざかる背後の景色に、戦闘不能の人達が映る。
瑞希お兄ちゃん達にボコボコニされた後、最後まで起きなかったゾッキー達。
伸びてしまった敵の集団。
なにもしてないのに、ケンカを売ってきた。
話し合いに応じず、自分達がピンチだと気づいてから謝る最低な連中。
出会った時は最悪だと思ったけど、今は違う。
(よかった・・・・・・・瑞希お兄ちゃんはそんな奴らじゃなくて。)
比較の材料にできてよかったと思う。
(やっぱり瑞希お兄ちゃんが一番だよ・・・・)
強まる核心を感じながら、正面へと視線を戻す。
比べるのは間違ってると思うけど、同じヤンキーカテゴリー。
もし、瑞希お兄ちゃんがあいつらと同類だったら、きっと私を助けてはくれなかった。
ヤンキーとか、族とか、暴走族とか、今でも怖い。
すごく、嫌だけど・・・・
「・・・・・・・・瑞希お兄ちゃん『は』好き。」
「あん?なんか言ったか、凛?」
「ううん!なんでもない!」
私の顔の横から、顔をのぞかせながら聞いてくる大好きな人。
それに笑顔で誤魔化して、バイクのスピードを上げた。
完全に結末が見えなくなった初集会。
示されたルートを走った。
1人だった道中は、頼もしい5人を合わせて6人となった。
~恋する総長、ただいま参上!カオスな初集会!!~完~