彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◆全員集合!ドキドキロード!!
朝へと近づく夜の街は、少しざわついていた。
「聞いたか?伝説の暴走族が、今夜走ってるんだってよ!」
「知ってるぜ!『龍星軍』だろう?飛翔連合と今モメてるって、マジか?」
「つーか、龍星軍って、頭以外のメンバーの話、聞いたことねぇーんだけど?」
「4代目が初代総長の弟で、爆裂弾の円城寺が入るんだろう?」
「はあ?円城寺と凛道君、ケンカしてるんじゃねぇーの?」
十字路の交差点前のコンビニで、そんな話をしていた若者達。
多少、車が行きかう道の信号が黄色に変わる。
それを見て、1人が言った。
「おい、変わったら渡ろうぜ。龍星軍はいいから、カラオケ行かねぇー?」
「いいねぇーあたし歌いたーい!」
「俺、割引券持ってるわ。」
「他にも誰か呼ぶか?」
そうやって、龍星軍に関する話題は終わったはずだったが。
パラリラララ~
「わははは―――――――!」
「あれ~?なにこの音?」
「飛翔連合だろう?今日、集会じゃんか?」
パラリラララ~!
「わははははははは――――――!」
「いや、ルート違うだろう?ここくるには、敵対してる堕裏亞と喧嘩して勝たないと無理だろう?堕裏亞の縄張りだし。」
「その前に、赤龍会じゃねぇーの?」
パラリラララ~!!
「わはははははははははは―――――――――!」
「つーか、段々近づいてきてる・・・・?」
「てかさ、なんか単車以外の音もまじてないか・・・!?」
パラリラララ~!!!
「わーはっはっはっはっはっ!!!」
キキーィッ!!!
「わっはーはっはっはっはっ!!!」
派手な音とブレーキ音と笑い声。
「うお!?」
「な、なんだ!?この声!?この音!?」
「おい!あれじゃねぇ―――――――か・・・・!?」
それらを出していた者が、彼らの目の前で急停止する。
「わははははははははは!!!」
「「「「なにあれ!?」」」」
「わっはっはっはっはっ!!」
そこにいたのは、後部座席に長い三段シートをつけて、ロケットカウルを装備した単車。
「わはははははははは!!!」
―――――――に、またがっている大男。
道のど真ん中に停止したのは、真っ黒な特攻服を着てマフラーで顔を隠している人物だった。