彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「わははははははは!わーははははは!!」
パアァアアアアアアアアン!!
ド派手なバイクに乗っている男は、笑い続ける。
「って、うるせぇー!?」
「エンジン音もだけど~!」
「声が半端なくデカいんですけど!?」
「わっはっはっ!わっはっはっはっ!!」
パァン!パァン!パァアアーン!
コール音を響かせ、共鳴するように笑う大男。
「ちょ、あれどう見ても族車だよね!?」
「どこのチームだ!?真っ黒でわかんねぇー!」
「つーか、名前つけてねぇーぞ!?」
その光景に、その場にいる人々が騒ぎ出す。
「わはははははは!!」
パァン!パァン!パパーン!
そんな周りの反応を楽しむように、男は笑う。
交差点の中心で、一歩も動くことなく(笑)声とコール音を出し続ける。
「おい、なんだよあれは!?」
「信号青だぞ!?進めねぇーだろう!?」
歩道で呆然とする者達をよそに、車道にいた人達の動きは速かった。
車の窓から顔を出すと、口々に叫ぶ。
「コラ!道の真ん中でなにしてんだ!?」
「仕事の邪魔だぞ!」
「こっちは、遊びじゃないんだぞ!?」
お仕事中のタクシードライバーやトラックの運転手が口々に言う。
その中でも、気の強そうな強面のタクシードライバーが怒鳴る。
「なにしてんだよ!?信号赤だろう!?どかんか!」
貫録あるからと声で、道をふさぐ大男に文句を言う。
「信号わかんのか、貴様!どけっ!」
「わはは!!」
「こっちは遊んでんじゃねぇーぞ!警察呼ばれたいか!?」
「わはははは!!」
「お、おい!聞いてんの――――――――!?」
「わははははははははははは!!」
「てっ、声がでかっ!!?」
「わーはっはっはっはっ!はははははは!!」
かき消される苦情。
大男の声に耳をふさぐタクシードライバー。
その姿を目だけで見つめる大男。
「わはははははははははははははははははは!!」
「うっ!?」
向けられる邪悪な笑み。
「わっはっはっはっはっはっ・・・・!!」
「うう・・・!?」
ピクリとも動くことなく、目だけでタクシードライバーを見る大男。
「う。う。う・・・!」
その迫力に押され、タクシーの運転手はなにも言えなくなった。
「ダ、ダメだ!勝てない・・・・!」
「山さんしっかり!」
「文句言えただけ、すごいさ!」
最後まで言いきれず、ガックリとうなだれるタクシードライバー。
〔★中年の大人は何も言えなくなった★〕