彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)




「わーはっはっはっはっはっ!」

パァン、パァン、パァン、パパーン!



こうして、注意する人がいなくなった交差点で、好きなようにコールと声を響かせる大男。



「あ!?もしかしてこれ・・・!?」



そのやり取りを見ていた若者の1人が叫んだ。




「あいつ、信号止めしてんじゃねぇか!?」

「え!?信号止め!?」




気がついたように発した若者の言葉で、周囲は違った意味で騒がしくなる。




「信号止めってなぁーに?」

「あ?マミ、知らねぇーのか?暴走族が集会する時に、赤信号を止めて、仲間を通過させる係りのことだぜ?」

「てことは・・・あいつ、信号止め役!?」


「わはははは!」




信号止めについて語る若者の群れと、笑い続ける大男。



「ヒロシ~信号止めってどういうやつがやるの?」

「そりゃあ、族の中でも一番気合が入って強い奴だろう?確か、親衛隊長がするって聞いたぜ?」

「てかさ、あれってゾッキーごとに役割違うんだろう?俺は副総長がするって聞いたぜ?」


「わはははは!」



信号止めはだれがするのかについて語る若者の群れと、笑い続ける大男。



「えー?お前、副総長はないだろうー?奇襲部隊がするって聞いたぜ?」

「いやいや、一般的には特攻隊長だろう?ケツ持ちだって特攻隊長じゃんか?」

「え?ケツ持ちは、親衛隊長じゃなかったか?」

「いや、それは~」
「わははははは!」

「だからー」
「わははははははは!」

「え!?なんて言った?」
「わはははははははは!」

「いや、だからさー!」
「わはははははははははは!」




「聞え・・・・!」

「わはははははははははははは!!!」



「「「「って、うるせぇぇえええ!!」」」」




だんだんと増える笑う回数に・・・会話がつながらなくなった若者たちが総ツッコミをする。



「マジでうるせーよ!笑い声がエンドレスだぞ、オイ!?」

「つーか、エンジン音よりも、笑い声の方がうるさいんですけど!?」

「なにあいつ!?なんなの!?」



「わははははははははは!」



それでも気にすることなく、笑い続ける大男。


< 1,104 / 1,276 >

この作品をシェア

pagetop