彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「わーはっはっはっはっはっ!」
パァン、パァン、パァン、パパーン!
こうして、注意する人がいなくなった交差点で、好きなようにコールと声を響かせる大男。
「あ!?もしかしてこれ・・・!?」
そのやり取りを見ていた若者の1人が叫んだ。
「あいつ、信号止めしてんじゃねぇか!?」
「え!?信号止め!?」
気がついたように発した若者の言葉で、周囲は違った意味で騒がしくなる。
「信号止めってなぁーに?」
「あ?マミ、知らねぇーのか?暴走族が集会する時に、赤信号を止めて、仲間を通過させる係りのことだぜ?」
「てことは・・・あいつ、信号止め役!?」
「わはははは!」
信号止めについて語る若者の群れと、笑い続ける大男。
「ヒロシ~信号止めってどういうやつがやるの?」
「そりゃあ、族の中でも一番気合が入って強い奴だろう?確か、親衛隊長がするって聞いたぜ?」
「てかさ、あれってゾッキーごとに役割違うんだろう?俺は副総長がするって聞いたぜ?」
「わはははは!」
信号止めはだれがするのかについて語る若者の群れと、笑い続ける大男。
「えー?お前、副総長はないだろうー?奇襲部隊がするって聞いたぜ?」
「いやいや、一般的には特攻隊長だろう?ケツ持ちだって特攻隊長じゃんか?」
「え?ケツ持ちは、親衛隊長じゃなかったか?」
「いや、それは~」
「わははははは!」
「だからー」
「わははははははは!」
「え!?なんて言った?」
「わはははははははは!」
「いや、だからさー!」
「わはははははははははは!」
「聞え・・・・!」
「わはははははははははははは!!!」
「「「「って、うるせぇぇえええ!!」」」」
だんだんと増える笑う回数に・・・会話がつながらなくなった若者たちが総ツッコミをする。
「マジでうるせーよ!笑い声がエンドレスだぞ、オイ!?」
「つーか、エンジン音よりも、笑い声の方がうるさいんですけど!?」
「なにあいつ!?なんなの!?」
「わははははははははは!」
それでも気にすることなく、笑い続ける大男。