彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「わーはっはっはっ!!」
バウーン!!バッバッバッ!
ギャラリーが大男の正体に驚いた時、野獣の背後から複数のエンジン音が響く。
「おい!あれ後ろ!なんか来たぞ!?」
「数台だけど・・・・ゾッキー!?」
バゥン!バッバッバッ!
近づいてくるなにかに、その場の全員が釘づけになる。
見えたのは4台のバイク。
「暗くて見えなーい!」
「おい!笑い袋・・・じゃなくて、野獣さんと同じ黒の特服着てるぞ!?」
「え!?でも、真ん中の奴だけ、白色を着てないか!?」
ガードレールから身を乗り出し、押し合いへし合いで観察する若者達。
ヴォーン、ヴォン、ヴォン!!
バルバル、ババババ、バルルル!
フォーン!フォーン!フォォーン!
「「「あっ!?」」」
その集団は、コールを流しながら彼らの目の前を通過する。
黒の特攻服をまとっていたのは4人。
全員、黒のマスクやバンダナで口元を隠していた。
中には、サングラスで目元まで隠しているのもいた。
4大のバイクにそれぞれ乗っていたが、人数は5人。
真っ黒な特服の男達に守られるように、1台、1人だけ白い特攻服を着ている人物がいた。
一番小柄で小さい姿。
年も一番若いとわかったが、わかったのはそれだけじゃない。
「おい!あの白い奴!」
黒の中でも目立つ白い特攻服。
その白色に刻まれている文字。
「りゅ・・・・!?」
「龍星軍の旗だっ!」
服の文字を読み取る者とは別の者が叫ぶ。
白い特攻服の人物の後ろ。
その後部座席に持っている男の手で揺れる大きな旗。
そちらの方が先に目についていた。
「りゅ、龍星軍!?」
「あの旗、龍星軍のじゃんか!?」
それらに刻まれた文字は、ギャラリーのテンションを上げるには十分だった。
「ばか!そんだけじゃねぇーよ!あれ!その白い奴!あいつ、4代目だ!」
「え!?マジ!?」
「腕にあったから!総長って!パッと見だったけどあれは――――――――!?」
「あの白い特服の人が、4代目総長!?」
「うっそー!?リアル凛道蓮君!?」
バウンウウン!
ヴォーンヴォ―ン!!
バルバルババババ!
フォンフォン!
そう口々に言った時、龍星軍一同は交差点から遠ざかっていた。