彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
瑞希お兄ちゃん達によって、ボコボコにされた反凛道蓮同盟。
そいつらを残し、瑞希お兄ちゃんを乗せたバイクで、ほかの先輩形と一緒に夜道を走りぬけていた。
ほどなくして、瑞希お兄ちゃんがよく通る声を出した。
「凛、このままの速度で走れ!」
「は・・・はい!」
愛しい瑞希お兄ちゃんからの指令。
(あなたがおっしゃるなら、従います!)
しもべ根性丸出しでうなずけば、彼は新たな言葉を発した。
「2号、3号、4号は、凛の周り囲んでガードに回れ!5号は信号止めを頼んだぞ!」
「了解」
「OK~」
「よかろう。」
「わははははははは!任せとけ!」
「信号止め?」
瑞希お兄ちゃんが言った言葉の中に、初めて聞く単語があった。
(なんだろう・・・?)
「わっはっはっはっ!!よっしゃー!!」
グォン!
グヴォォオオオオオオオオン!!
意味がわからない私の側から、ご機嫌な百鬼が飛び出す。
バリバリバリバ―――――ン!!
「わはははは!特隊の根性見せてやるぜ、凛助―!!」
「ご、5号さーん!?」
そう叫ぶと、あっという間に先に行ってしまった。
うるさい野獣が走り去った後、一定の速度を保ちながら私は聞いた。
「瑞希お兄ちゃん・・・・信号止めって何ですか?」
「まぁ・・・交通規制ってところかな?」
「交通規制?」
聞き返せば、後ろに座る瑞希お兄ちゃんが気まずそうに答える。
「俺ら族の判断で勝手にする車両止めだ。」
「勝手に・・・?ああ!旗持ちおばさんみたいなものですか!?」
「ぶっ!?ちょっと違うけど~・・・車を止めて、仲間を通すって意味では同じかなぁ~」
「へぇ~それを5号さんがするんですか?」
小学生の時お世話になった旗持ちのおばさん。
いい人だったけど、今でもお元気かな?
それと同じことを百鬼さんがするなんて・・・
(にあわねぇ・・・・)
想像して思う。
安全への誘導ではなく、危険へ誘導されそうで嫌。
〔★今まさに、誘導されている★〕