彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「けっこういるなー1号?」
「ああ・・・意外と、凛がデビューする話が早く広まったみたいだな、2号?」
「馬鹿者。ネットで拡散しとるんだ。」
「あと、おまわりちゃん達も動いてるしね~?」
「わはははははは!俺様好みがいたら、即お持ち帰りだぜ!」
「5号さん、それ連れ去りですよ?」
聞こえてきた会話を突っ込みながら、瑞希お兄ちゃんの肩越しに前を見る。
不自然な人の群れ。
暗いけどわかる。
「来た来た!待ってましたー!」
「噂のゾッキー集団!」
「龍星軍!」
「凛道く~~~ん!!」
私達を見ながら手を振っていた。
(私の名前も、呼ばれてた・・・)
こうなっては、変なところは見せられない。
ポールを握り直して、座り直す。
前のめり気味だった身体を立てる。
「その意気込みだ、凛。」
「・・・はい。」
バッバッバッバウウーン!
私が背筋を伸ばしたところで、瑞希お兄ちゃんがエンジンをふかした。
それに続くように、私達を取り囲むようにして走っていた先輩達が口々に言う。
「カメラ目線よ、凛ちゃん!」
「笑顔もいいな、凛たん。」
「好きにしろ。」
「ウケ狙え、ウケ!なんかして目立てよ!わはははははは!」
「しねーよ、馬鹿野郎共!」
そんな彼らに、きりっとした表情で瑞希お兄ちゃんは言った。
「凛はクールにいくんだ!硬派で売るんだよ!」
「小動物の間違いだろう、1号?」
「あーん!籠の中で育てたーい!」
「はっ倒すぞ、4号、3号!」
「わははははは!けど、凛助は硬派って見た目かー!?可愛いのになぁーぶははははは!」
「大丈夫だろう、5号?1号だって、硬派で売って、上手くいってたんだからよー?」
「オメーらも!特に2号!どういう意味だコラッ!?」
(そう言う意味だと思います・・・・)
赤い顔で怒る瑞希お兄ちゃんには申し訳ないけど、烈司さんの気持ちはわかるかも。
(まぁ、私が可愛いと言うのは、男の中では小さいからそう感じるだけの話であって、実際は可愛くないんだけどね~)
〔★凛は自分に自信がなかった★〕
多少もめたけど、ギャラリーが近くなったところで瑞希お兄ちゃんが言った。
「凛、堂々としろ!俺もお前も硬派だ!硬派は他人に媚びない!これは鉄則だからな!?」
「はぁーい、瑞希お兄ちゃん♪」
〔★すでに媚びている★〕