彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
仲間の反応に、瑞希お兄ちゃんもさらに顔をしかめた。
「んだよ、烈司、皇助!オメーらも、伊織の肩持つのかよ・・・!?」
「そうじゃねぇ。オメーが心配だからだ。」
そう言いながら、烈司さんは瑞希お兄ちゃんへと近づく。
「伊織の気持ちがわからねぇのか?オメーだけじゃなく、凛たんのためを思って意地悪く言ってるだけだぞ?」
「なんだそりゃあ!?オメーら、俺をお姫様かなんかとでも思ってんのか!?」
カッと顔を赤くすると、烈司さんの胸ぐらを掴む瑞希お兄ちゃん。
「俺は、守ってもらわなきゃならないぐれー弱いって言いてぇのかっ!?」
「み、瑞希お兄ちゃん!?」
「おい、やめろ!」
「黙れ!オメーも無責任なんだよ、皇助!」
それを百鬼が止めに入れば、今度は彼に食って掛かる瑞希お兄ちゃん。
「素人で、なにもわからねぇ凛を、リングの上にあげやがって!ただの恩返しに来たってだけなら、伊織もうるさく言わなかったのによー!」
「あんだと~!?俺様に文句があんのかよ!?」
「だから今、ややこしくなってんだろう、この筋肉馬鹿が!」
「なによオメー・・・今度は俺様に八つ当たりしよーってんのか・・・!?」
「あわわわ・・・!」
今度は、百鬼と瑞希お兄ちゃんがにらみ合う。
私でもわかるヤバい空気。
(ほ、本当に喧嘩しそうになってる・・・!?)
〔★一触即発事態に陥った(おちいった)★〕
選手交代。
烈司さんの胸元を掴んだまま、百鬼と険悪になる瑞希お兄ちゃん。
(とめなきゃ!喧嘩させちゃだめ!)
不本意ながら、元はと言えば、私が原因。
そもそも、争い事は好きじゃない。
(起きる前に防がなきゃ!)
「瑞希お兄ちゃん、烈司さん、百鬼さんも!!やめ・・・!」
「やめろ、お前ら!」
そう思って待ったをかけようとしたけど。
そんな私の声をかき消すように、制止の声が上がる。
「獅子島さん!?」
私が言い切る前に、獅子島さんが止めに入ってくれた。