彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
3人の間に割って入りながら、獅子島さんは大きめの声で言った。
「誘った皇助も悪いが、肝心なことが、お前らは抜けてる!」
「はあ!?肝心なことだ!?」
「誰が抜け作だぁー!?」
「よせ、瑞希、皇助!・・・で?なにが抜けてるってんだ、伊織?」
敵意をむき出す2人を沈めなたら烈司さんが聞く。
それに静かに獅子島さんは答えた。
「この現状で、凛道自身は総長になることを望んでるか?」
「「「あ。」」」
「え?」
その言葉で、全員が私を見る。
突然振られた話に、私はポカーンとする。
「凛・・・」
「み、瑞希お兄ちゃん・・・・」
切なげな目で私を見る初恋のお方。
顔が熱くなるの感じる中、絞るような声で言われた。
「そうだよな・・・凛は、『する』って、一度も言ってなかったな。」
「瑞希お兄ちゃん!?」
悲しそうな顔で言われ、胸が痛くなる。
そんな顔しないで。
そんな表情しないで。
「ごめんな、凛・・・・。オメーの気持ちも考えないで。」
「わ、私は!」
「最初は、円城寺の助っ人かと思ってたけど・・・そうじゃなかったもんな。」
「瑞希お兄ちゃん。」
「嫌がるパンピーを、ヤンキーの親玉にしちゃダメだよな?」
そう告げて、無理して笑う姿。
これで私のハートは射ぬかれた。
「ダメじゃないです。」
「え?」
6年間。
毎日あなたを思っていた。
せっかく会えたのに、自分のミスで今後の交流をたたれるのは嫌だ。
何よりも―――――
「そんな顔しないでください。」
あなたに、笑顔以外は似合わない。
「真田瑞希さんの跡は、誰にも継がせません。」
「凛!?」
ヤンキー漫画の主人公のように告げる。
「『俺』以外、『龍星軍』の頭は張らせません。」
『私』ではなく、『俺』として言った。
「あなたが望むなら、俺は堅気を捨てれる。」
『男』だと告げたあなたを、『俺』は受け入れる。
「真田瑞希さん、俺に『龍星軍』の総長を継がせてください。」
それで愛しいあなたの側にいれるなら。
(私は、俺は・・・なんにでもなってやる。)
「お願いします。」
震える気持ちを抑え、5人の男に向かった頭を下げた。