彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
こちらの気を引くような手を叩く行為。
(な、なに!?)
今度は何が起きた!?と思いながら、音がする方を見る。
「もう、いーんじゃないの?」
そう告げながら拍手している人。
「朝霧さん・・・!?」
ずっと静かだった人だ。
「朝霧さんなんて、堅苦しいのはやめてよ~?『モニカちゃん』て呼んで♪」
「モ、モニカちゃん?」
「いい子ねぇ~!聞いた、野獣さん?」
言われた通りに呼べば、こちらにウィンクしてから百鬼を見るモニカちゃん。
「どう、皇ちゃん?凛ちゃんと遊んだ感想は?」
(あ、遊んだ!?)
今のが遊びだったと言うの!?
めちゃくちゃ怖かったんですけど!?
〔★遊ぶ範囲を超えていた★〕
内心キョドっていれば、聞かれた方が反応した。
「くっくっくっ・・・・!」
それに不気味に笑う。
悪魔でも召喚するんじゃないかと思っていたら言った。
「いー感じ。」
初めて聞く静かな声。
思わず凝視すれば、相手は普通に笑っていた。
「凛助よーどこの世界に、謝罪しながら攻撃する奴がいんだよー?」
「え?あ~・・・ここに。」
「ぶははははは!」
片手をあげて挙手すれば、爆笑された。
「マジオメー!?やる気がそげるぜ!まったく、曲芸師かよ!?オメーの一撃、けっこうきいたぞ・・・!?」
「え!?・・・嘘でしょう?あんな硬い筋肉、わた・・・俺の攻撃は届いているはず・・・」
「いや、オメーはいい感じだわ。」
そう呟くと、私の前まで歩いてくる。
それに警戒して構えて言えば、手が伸びてきた。
(――――――――――――殴られる!?)
ポンポン。
「え?」
「悪かったな。髪、抜けたんじゃねぇーの?」
撫でられた。
軽く叩く程度。
さっきまで、自分がつかんでいた私の髪を撫でていた。
「これは・・・一体・・・・?」
「試したんだろう。」
「獅子島さん!?」
言ったのはメガネ男子。
眼鏡をクイッと上げると、どこかゆるんだ顔で私に言った。
「お前の気持ちを確かめたんだ、凛道。」
「わ・・・俺の気持ち?」
「そうだ。瑞希可愛さに、勢いで総長をしたいと言うバカなら、お前は皇助に半殺しにされていた。」
そう言って同じように近づいてくると、私の肩を軽く叩く。
「・・・お前を認めよう、凛道。お前が総長になることへ一票だ。」
「ええ!?」
あれほど反対していた人からの言葉。