彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
6年前、家出した私を助けてくれた瑞希お兄ちゃん。
6年かけて見つけた初恋の人は、バリバリの有名ヤンキーだった。
きっかけはどうあれ、彼との再会は果たせた。
だけど、様々なトラブルにより、私、菅原凛は、現在複雑な立場にいました。
「お前誰だっけ?」
●トラブル其(そ)の一:肝心の瑞希お兄ちゃんは、私のことをド忘れていた。
(まぁ・・・6年も前に、一度だけ会った子供なら、覚えてる方が無理があるか。)
それは妥協出来た。
幸い、彼は、私を思い出してくれた。
(思い出してくれたはいいけど・・・!!)
「お前、あん時の坊主だろう!?」
●トラブル其(そ)の二:私を『男』だと誤認していた。
(そりゃあ、ショートヘアにズボン姿だったから、誤解もあるかもしれないけど・・・!!)
瑞希お兄ちゃんの勘違いはそれだけではない。
「思い出した!名前は確か、『りんどう れん』だろう!?」
(誰だそれっ!!?)
●トラブル其(そ)の三:名前を間違って覚えてる。
2文字しかあってない!
しかも、その2文字は苗字じゃなくいて、なーまーえー!!
(おまけにその間違いを、いろいろあって訂正できなかった・・・!!)
おかげで瑞希お兄ちゃんは、私を完全に男子だと思っちゃってる!!
(嘘のような本当の話が、現実に起こるなんて!酷いよ神様!)
〔★自業自得である★〕
(それだけでも、問題なのに・・・)
「俺に『龍星軍』の総長を継がせてください。」
(私自ら、問題発言したこと―――――――――――――――!!)
●トラブル其(そ)の四:うっかり、暴走族の総長します宣言をする。
(だって仕方ないじゃん!?あのクソ眼鏡、瑞希お兄ちゃんと私を引き離そうとしたのよ!?ロミオとジュリエット並のエンディングで、追い出そうとしたのよ!?)
素人の私に、不良なんて無理。
できるはずないけど・・・
「凛は俺が守る!俺が面倒見る!!」
「瑞希お兄ちゃん・・・!!」
好きな人にそこまで言われたら、女が・・・いえ、漢(おとこ)が、泣くわ!
「じゃあ、お前に『龍星軍』の4代目を任せたぜ、凛!」
「はい、瑞希お兄ちゃんっ♪」
こうして私は、男として暴走族グループ、『龍星軍』の4代目総長を襲名した。
(瑞希お兄ちゃんの側にいたいから、やりますって言ったけど・・・)
本当に私に務まるかな?
(いいえ、弱気になっちゃダメよ、凛!『あんな話』を聞いた以上、私は立派に総長をしなきゃ・・・!)
不安な気持ちを奮い立たせる。
絶対に、投げ出せない『事情』が私にはあった。