彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「元々、俺ら全員・・・変わり者の問題児でな。」
(自分で言うんだ・・・・)
〔★自覚があるらしい★〕
「それでも俺ら5人、気があってな・・・割愛すっけど、流れで族を作ろうってことになったんだ。」
「それが『龍星軍』ですか?」
「ああ。立ち上げたのは、13の時だった。」
「へぇ~中学生で暴走族を・・・」
瑞希お兄ちゃんの言葉で、本当に結構ヤンチャだったのだと思う。
(見た目は、全然そんな感じはしないんだけどな・・・)
まぁ、一匹だけ、完全な不良がいるけど・・・。
烈司さんは、ちょい悪っぽいけど・・・セーフ。
モニカちゃんと獅子島さんは、違った意味でどちらもヤンキーらしくない。
瑞希お兄ちゃん同様、ヤンキーに見えない。
それぞれの第一印象を思い返していえば、瑞希お兄ちゃんが言った。
「凛と出会ったのも・・・バリバリ現役の頃だ。バイクで走るのも、喧嘩するのも好きだったから、楽しくやってた。」
「あ!そういえば、最初の時も、そう話してたよね?」
「覚えてんのか?」
「はい!すっごく、生き生きしてて嬉しそうだったから。」
「そうか・・・」
ニコニコしながら言えば、瑞希お兄ちゃんの表情が緩んだ。
(よかったーもう機嫌が直った♪)
それで安心していたら言われた。
「俺らのチームは他所の族と比べて、少数しかいない。俺を含めて、ここにいる全員だけが初代『龍星軍』だ。」
「えっ!?これだけ!?」
(少なっ!)
「そう、少ねぇだろう?下手に群れるより、気心知れた奴と馬鹿できればよかったからよ。」
心の声を読み取ったのか。
私のリアクションに軽く笑うと、テーブルに置いた手に体重をかけながら言った。
「『楽しく』をモットーにいろいろ無茶した。ムカつく半グレ潰したり、乗り込んできたチーマー返り討ちにしたり、卑怯な罠仕掛けてきた他のチームに倍返しをしたり、ヤクザやマフィアとケジメつけあったり・・・可愛いもだろう?」
「そうそう!あの時はスカッとしたな~わはははは!」
「あんな作戦で、俺達を倒すなど・・・百年早い。」
「オネェを馬鹿にしたらどうなるか、思い知ったでしょうね~」
「今となりゃあ、俺らにも、あんな可愛い頃があったんだよな・・・」
ウキウキと語る瑞希お兄ちゃんと同じように、ご機嫌で昔を話す百鬼と獅子島さんとモニカちゃんと烈司さん。
(話と表情が、まったくあってないっ!!)
楽しそうに話してるけど、全然楽しい話じゃない。
半グレだけならまだしも、どうしてヤクザとマフィアが出てくるの!?
〔★同列にしない方がいい★〕
「いや~若かりし頃の可愛い思い出だぜ~」
「そう思ってるのは、あなただけです。」
だから言った。
懐かしそうな顔で語るお兄様達にお伝えした。
それが冗談で言っているとは思えなかったので、正直に答えた。
「誠に残念ながら・・・可愛いと感じるのはあなた方だけです。」
〔★凛はシリアスに指摘した★〕