彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「あははは!凛は手厳しいな~?」
「笑い事じゃないですよ、瑞希お兄ちゃん。」
「わりぃ、わりぃ!あ〜あ、凛に怒られちゃったぜ、れーじ!」
「凛たんは、心配性みたいだからなぁー可愛いなぁ、モニカ?」
「ドストライクにね!あたし達を心配して、良い子ちゃん!ねぇ~伊織ちゃん、りっちゃん、イオリン!?」
「俺への呼び方を統一しろ、モニカ。お前にはわからんだろうな、心配する側の気持ちは・・・皇助、お前もだ。」
「わははは!まったくだぜぇ~!凛助~先輩の意見を否定すんなよぉ~!?上が言うことは絶対だぞー!?」
「では、あえて下から申し上げます。全員、無茶苦茶です。」
口々に言う先輩方に、特に百鬼をスルーしながら言った。
「瑞希お兄ちゃんがすることだから、間違ってはないと思いますが・・・みなさん、今までよく無事でしたね?」
聞く限り、物騒でしかない昔話。
「今はしていないと願ってますが・・・・・・・そういうのは、やめてくださいよ。」
「心配しなくても、今はしてねぇよ凛。」
「それならいいですけど・・・危ないです。瑞希お兄ちゃんになにかあっても困るし・・・普通だったら、刺されてますよ?」
呆れる気持ちでやんわりと言った。
何も考えないで口にした一言。
「無事じゃねー」
「え?」
だから、返って来た返事に困惑した。
「『俺ら以外』は、無事じゃなかった。」
「『俺ら以外』・・・?」
それはつまり、瑞希お兄ちゃんではない人達になにかあったの?
「・・・誰に、なにがあったんですか?」
彼が言った意味深な言葉の真意をたずねる。
それに一瞬黙ってから、お兄ちゃんは告げた。
「凛が言うような俺らだから・・・『龍星軍』は一代限りのチームにするって決めてたんだ。誰にも継がせないで、解散させようってな。」
「え!?それがどうして・・・俺が『4代目』になることができたんですか・・・?」
真相を問いで、瑞希お兄ちゃんの表情が変わる。
「・・・チームに入れなかったが、俺達には目をかけてた後輩らがいた。」
「後輩?」
「ああ。そいつらに、しつこくお願いされてな・・・。」
そう話す顔は、完全な無表情。
「まさか・・・!?」
「・・・そのまさかだ。」
冷たく沈んだ声で彼は言う。
「可愛い後輩の頼みってこともあって・・・・・・チームを継がせた。」
どこか寂しそうな口調で、瑞希お兄ちゃんは告げた。