彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
一度想像してしまうと、その考えがぬぐえない。
消すには、消せるだけの理由がいる。
違うと、否定される必要があった。
だから聞いた。
「あの、ちょっと確認したいんですが・・・」
「どうした、凛?」
愛しいお方に質問した。
「瑞希お兄ちゃん達は・・・他の方からは、あだ名で・・・いや、あだ名で呼ばれることが多かったんですか・・・?」
「え?そーだなぁ~・・・名前呼び合うのは、俺ら仲間内だけだったな!案外、他の奴らは苗字以外は知らないかもな~アハハ!変な話だよなぁ~凛?」
「ははは・・・・そ、そうですね、瑞希お兄ちゃん・・・」
その話で確定した。
肯定された話を聞いて私は思う。
ヤンキーの世界では有名らしい瑞希お兄ちゃん。
それだけ知名度が高いのに、『瑞希』という名前だけで探し出せなかったのは。
聞き込みしても見つけられなかったのは。
(あだ名の方が有名で、一般ヤンキーが本名を覚えてなかったから、かも・・・・?)
とんでもない真相にこっそり気づき、ひっそりと凹んだ。
(あああああ!私の6年間なんだったのー!?本当の本当に、苗字をきちんと聞けばよかった!)
探し方からして、私は無駄なことをしていたのかもと思いはいじめた頃、
「ビビるな、凛!!」
「う!?み、瑞希お兄ちゃん!?」
勢いよく肩を叩かれる。
私がみんなに圧倒されて落ち込んでいるとでも、勘違いしたんでしょう。
甘いマスクで、励ますように言われた。