彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◇ヤンキーに、プロデュースされる
本屋さんで立ち読みをした。
(ヤンキーに関する本はないかな・・・)
専門雑誌があると、携帯でググって知った。
目的の書物はあったが、
(載ってないな・・・)
ページをめくりながら思う。
(ヤンキーになる方法が載ってない・・・)
私、菅原凛は、初恋の人探しでヤンキーデビューが決まりました。
人が聞けば、「なんで!?」という出来事の果てのヤンキーデビュー。
(・・・しかも総長だし・・)
出来ないと言えばよかったのかもしれない。
(だけど、断れない雰囲気だった・・・)
ーいざとなれば、バリスタの方はやめっから!ー
お断り=好きな人が犠牲になるコースしかなかったので決めた。
(私が4代目にならないと、愛しの瑞希お兄ちゃんがゾッキーに戻ってしまう!!)
それが決め手。
なによりも、私が大好きお兄ちゃんの側にいたかった。
瑞希お兄ちゃんを一番近くで見つめながら、彼を守る!
彼が作った『龍星軍』を立派に仕切ってみせる・・・!!
「ちょっとー場違じゃない?」
「クスクス・・・なにあれ?高校デビューしたいの?」
(デビュー!?)
その単語に敏感になっていたので、声のした方を見る。
いたのは、ヤンキーぽい子達。
私を見てコソコソ話してる。
笑ってる。
(まずい!)
目が合う前に、雑誌をそそくさと置いて離れる。
ほどなくして、後ろから爆笑する声が聞こえた。
それに恥ずかしさと気まずさを感じながらため息をつく。
(・・・こんな私がヤンキーか・・・)
普段の私は、真面目な生徒。
勉強を真面目にして、先生の前でいい子をしてる。
校則もきちんと守って、スカートの丈も変えず、制服の着崩しもしない。
化粧もしないし、ピアスも開けてない。
髪の毛も真っ黒のままで、カールさえかけない。
・・・長さも足りないし・・・
良く言えば真面目な子。
悪く言えば、超地味。
(真面目な生徒が、ヤンキー雑誌なんか読めば目立つよね・・・)
苦い気持ちで歩道橋の階段をのぼる。