彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
瑞希お兄ちゃんに再会できて嬉しかった。
だけど、お兄ちゃんとの再会は良いことばかりじゃない。
「俺が凛を、気合の入ったヤンキーにする!」
「・・・はい。」
言葉通り、気合の入った顔で、大好きな人から言われた。
きっかけは成り行きだったけど、キャンセルする気はない。
(瑞希お兄ちゃんが望むなら・・・ヤンキーを目指してもいい。)
それはいいんだけど・・・
問題はそこじゃない。
「『男の子』って勘違いしてることなんだよね・・・」
そう。
私を男子だと、間違えて覚えていたこと。
(誤解がとけないまま、男の子の振りすることになったけど・・・)
問題はそこ。
(格闘技をしてきたからわかる。体力的に、どうしても男女の差は縮められない。)
実際に、やってみないとわからないけど・・・
(男らしくできるかな・・・!?)
〔★誤解をとこうという選択はなかった★〕
格闘技を習い始めて数年。
小学生までは、男子と勝負しても勝てた。
でも、段々と力をつけてきた男の子達に勝てなくなった。
試合の時、技で勝つことはできたけど、腕力ではかなわない。
「・・・今だからわかる。」
昔は、必死で男子みたいになろうとした。
男になんか負けたくないと、頑張った。
でも、ある日言われた。
「凛ちゃんは、男子に勝てればいいのかい?」
「え?」
いつも教えてくださる、年配の師範が言った。
「知ってるかい?女の子の方が長生きするんだよ。」
「え?ああ・・・平均寿命が長いって、学校の生活の時間で習いましたが・・・」
「そこなんだよ。」
彼は穏やかに笑う。
「女の子は、子供を産むから男の子より丈夫に出来てる。男の子は子供を産まないから、代わりに力が強いんだよ。」
「・・・・え?」
「今の凛ちゃんに必要なのは、見極めて仕留めることだよ。」
(見極めて仕留める。)
それが私の知る、男女の差を縮める方法だった。