彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
そこまで思い出してため息をついた。
(『男の子の総長』をするにしても、男と同じように動けなきゃいけない・・・)
戦えないとダメ。
(これから『凛道蓮』を演じていくなら、男と対等に渡り合える方法も考えなきゃ・・・)
『龍星軍』がどれほど有名かは知らない。
でも、先頭きって戦っていたという百鬼と手合わせしてわかった。
(・・・強すぎる!)
モニカちゃんのおかげで無傷ですんだけど、あのまま続けていたら私は負けてる。
(瑞希お兄ちゃんも強いのかな・・・?)
頭に浮かんだ愛しい人。
まだリアルバトルは見てないけど、今後の展開で見る確率は90%。
(きっと、戦う姿も素敵だろうな・・・!)
「てっ!そうじゃない!!」
うっとりしかけて、我にかえる。
(浮かれてられない!私には、総長として瑞希お兄ちゃんのバリスタ修行生活を守る使命がある!)
瑞希お兄ちゃんは遠慮してたけど、しなくていい!
(総長としてしっかりしなきゃ!!)
厄介そうだけど、頑張ろう。
(次会うまでに、瑞希お兄ちゃんの期待に答えられるようにしなきゃ・・・)
「とはいえ・・・どうすればいいんだろう・・・?」
ヤンキーになる方法なんてわからない。
誰も教えてくれない。
「あーあ・・・瑞希お兄ちゃん達は、今度会った時に教えてくれるって言ったけど・・・」
ぼんやり、歩道橋の手すりに頬杖つく。
(少しでも予習したいな・・・ヤンキーについて・・・)
・・・・・・・・あれ?
そこまで考えて気づく。
「あれ・・・・?もしかして私・・・重大なことを忘れてる・・・!?」
そのことに気づいた瞬間、サァーと体中の血の気が一気に引いた。