彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
空のカップへ順番に、香りのよいコーヒーを入れながら瑞希は言う。
「今度のことで、庄倉を含めた幹部すべてが総入れ換えだ。次の頭を決めるためにも、凛を見つけ出して倒したいんだろうな。」
そこまで言うと、コーヒーが満たされたカップを見ながらフッと笑う。
「噂じゃ、凛を倒せば、『羅漢』だけじゃなく、『龍星軍』の頭になれるとか・・・くっくっく!マジウケる!」
次々と、カップの中身を注ぎながら言う瑞希。
「倒してレベルアップって、どんなレアアイテムあつかいだよ?まるで、この前、烈司とやったバトル系のモバゲーといい勝負だぜ。笑わせてくれんよなぁ~?」
「笑えねぇよ。」
瑞希の言葉を大河は否定する。
「笑い事じゃねぇよ。」
「あんだ、その口の利き方は?そんなこと言うなら、バトル系のモバゲーやらせてやんねぇーぞ~?」
「これ二度目なんすけど・・・マジで茶化さないでください。」
ふざける瑞希の態度で、大河は気づいた。
相手が話を変えようと、し始めている。
この流れでいくと話が変わる。
自分達の話まで笑い話で終わらされてはたまらない。
そう思ったので聞いた。
「そこまでわかってて、まだかばうんすか?」
「かばう?」
それで、諦めたような顔をしていた瑞希の表情が変わる。
「なんのことだ?」
「とぼけないでくださいよ。『凛道蓮』のことっすよ。真田さん、はぐらかしてばっかりで、全然話さないじゃないっすか?」
その言葉で、瑞希の表情も悪くなる。
「今日はやけに口が悪いな、小僧。大口叩くヒマあったら、すること先にするのが筋だろう?」
「・・・どういう意味っすか?」
「優先順位で言えば、羅漢消滅させるのが先だろう?『やられっぱなしは、嫌』じゃなかったのか?」
「っ!?」
その一言で、大河の言葉がとまった。