彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
庄倉との決着を示唆(しさ)した発言。
そのやり取りを最後に、無言でにらみあう二人。
緊迫する空気の中、最初に口を開いたのは、
「もぉー!!『羅漢』はどうでもいいっす!」
「カンナ!」
キツめ美人の女子。
八重歯を見せながら怒鳴った。
「真田センパイ!マジで、羅漢なんかどうでもいいっすよ!問題は、『それ以外』も血眼で『凛道蓮』を探してるってことっす!!」
「それ以外?」
「そう!」
バン!と、机を叩きながら大河の代わりに少女は告げる。
「真田センパイが思う以上に、『凛道蓮』の噂が広がってるんすよ!おかげで、羅漢以外のヤンキー共まで『凛道蓮狩り』をはじめてるんすから!!」
「ヒマなやつが多いな。」
「ついでに、金のない金欠連中もですよ!『ラクシュアラー』が、賞金までつけたおかげで、ヒートアップ半端ないですよ!」
「金があったらあったで、ろくな使い方しないな・・・」
「おっしゃる通りですけど、なに他人事みたいに言ってんすか!?『凛道蓮』を指名したのは、真田センパイでしょう!?ちょっとどいて、大河!」
「おわっ!?カ、カンナテメー・・・痛って!?」
カウンター越しで、瑞希と近い距離にいた大河を押し退けるカンナ。
大河と入れ替わる形で、瑞希へと顔を近づけながら言った。
「誰にするか決めるのは真田センパイの勝手だけど、指名したなら関係者らしい発言してくださいよ!」
「カンナ!」
「馬鹿!失礼だぞ!?」
「どっちがだよ!?こっちはガチで話してんすから、真面目に聞いてもらわなきゃ困るんすよ、真田瑞希センパーイ・・・!?」
秀と悠斗の制止を足蹴にすると、ギロッと瑞希をにらみつける。
「ガキをガキあつかいすんのも、時と場合考えて下さいよ・・・!!?」
紅一点の中、男顔負けの凶悪フェイスでメンチをきるカンナ。
これに対して、瑞希は・・・・
「そうか。」
動じることなく、変わらぬ態度で対応する。
きついカンナの視線をものともせず、コーヒーが半分まで入ったカップ身にミルクを注ぐ。
銀のスプーンで混ぜる。
対面式のカウンターで、瑞希は気にすることなく作業を続けた。
「な・・・!?」
(んだよ、それ!?スカしやがって・・・!)
その様子に、無視されたという錯覚を覚えるカンナ。
ますます機嫌が悪くなり、口元をゆがめながらさらに睨む。
一方、他の3人はというと・・・
((さすが、初代『龍星軍』の頭!))
(多少のことじゃ、動じないか・・・)
改めて、真田瑞希の器のデカさを痛感していた。