彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)



その後、長くいれそうな場所を転々とした。

でも、長くは居座れない。

最後は本屋さんで・・・本屋さんから、お店の人からも逃げるように外に出た。

暗い人ごみの中を歩いて、コンビニの裏に避難する。



座り込んで考えた。




今夜はどうしよう。




ネットカフェは子供じゃ泊めてくれない。

公園に行こうと思ったけど、場所がわからない。





「だからよ!それじゃ話が違うだろう!?」

「マジだよ!聞けって!」




近くで大声がした。

怖くて、暗がりに隠れる。

知らない大人、知らない街。




そこにいるのが怖くなった。






「・・・助けて・・・」





今さらながら後悔。




怖いよ。

一人ぼっちで、怖い。






――――――――――――――誰か助けて!




「大丈夫か?」






突然、上から声をかけられた。


見上げれば・・・・





「あ・・・」

「お前、迷子か?んー?」






綺麗な顔をした人がいた。

優しそうで、広告塔のモデルでもできそう。

可愛い感じの人。






「どうした?こんな時間にこんなところで?」

「あ・・・」





知らない人にはついていってはいけない。

どんなに優しそうな人でもついていってはいけない。

だけど・・・






「怖がるなよ。とって食ったりしねーから。」






この人、悪い人じゃない。





そんな私の気持ちを察したように、彼は両手を広げて座り込む。

目線を私に合わせながら言った。







「おいで。なにもしない。」





(この人だ。)





直感で思った。




この人なら、私を助けてくれる。







(私を―――――――――――助けて!!)







気づけば、その人の胸に抱き付いていた。

そんな私を彼は優しく抱きしめる。





「もう大丈夫。」





その言葉が引き金となって、私の目からしずくがこぼれる。






「うっぐ・・・うう・・・うええええええぇ!!」






大声で泣いた。


最後に泣いたのはいつだったか。


それぐらい久しぶりに泣いた。






「よしよし。泣くまで、よく我慢したな。」






まるで私のすべてを知っているみたいに、彼は私の背中を撫でながら言う。


それが私は嬉しく、その人の胸の中で気がすむまで泣き続けた。



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