彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
可愛くて優しいだけじゃなく、バイクテクもあるなんて♪
(さすが瑞希お兄ちゃん!)
ブーン、ブンブン!!ブーン、ブンブン!
ポーとする私をよそに、バイクの爆音が上がる。
エンジンが再び火を噴き、瑞希お兄ちゃんの体が立ち上がる。
「おっしゃー!絶好調!」
「瑞希お兄ちゃんカッコイイー!」
後輪だけで走行するバイク。
「どうよ!?俺だってやる時はやるんだぞ〜?」
「はい!まさに単車のプロです!!」
「あはは!それじゃあ、プロとして期待に応えないとなぁ〜!?それ!」
ブンブン!ブンブン!
「わあーすごいすごい!」
「とーぜん!あははは〜!」
お互い浮かれていて気づかなかった。
その異変に。
「瑞希!凛!あぶねぇー!!」
「あん?」
「え?」
エンジン音に続く、危険を知らせる声。
ーーーーボコッ!!
「わっ!?」
「お!?おおおおおおお!?」
私の座っていた場所が、ガクッと下へと落下する。
落ちるような感覚。
・・・・後でわかったけど、その時、瑞希お兄ちゃんが運転すバイクの後輪が、穴にハマったらしいの。
「お、お兄ちゃん!」
「焦るな!こういう時は~~~~~おらぁ!!」
上げていた前輪を地面に叩きつける。
その反動で、ハマった後輪を浮かせて、穴から出そうとしたんだけど・・・
「馬鹿!!石!!」
その言葉通り。
「げっ!?」
「え?」
瑞希お兄ちゃんが前輪を叩きつけた場所に、大きな石があったそうだ。
バーーーーーーーーーーン!!!
「「わぁああーーーー!?」」
満月の夜空。
お月様の中に、私と瑞希お兄ちゃんとバイクの3点セットのシルエットが浮かぶ。
「「あ、あ、あ、あ、あああああああああ!!」」
仲良く、浮かんで消えた。
「飛びやがったぁぁぁ!!」
聞きなれた声の主の言う通り、私と瑞希お兄ちゃんはバイクごとダイブした。
空を舞った私と瑞希お兄ちゃんはーーーー・・・
「きゃう!?」
「がは!!」
大地に落ちた。