彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
2人一緒に落下した。
身体に走る痛みと衝撃。
「み、瑞希ぃー!凛たん!凛たん!りーんーたーん!!」
エンジン音に続き、烈司さんの大声が耳に届いた。
「バッキャロー瑞希っ!!2人乗りのウィリーは禁止って言っただろうぉー!?凛たん!生きてるか!?瑞希ー!?」
そんな烈司さんの言葉を聞きながら、体中に感じるぬくもり。
「うう・・・あれ?」
私が落ちたのは土の地面。
コンクリートではないとはいえ、痛いはずだけど・・・
「・・・・・・痛くない・・・・??」
感じるはずの痛みが少ない。
「なんで・・・?」
広がる疑問は、私達を呼ぶ烈司さんの声が解決してくれた。
「おおお!?凛たんは無事か!?地面に叩きつけられる直前に、瑞希自らクッションになって、凛たんは無事か!?」
「えっ・・・・!?」
(うそ!?)
烈司さんの言葉で、私は瑞希お兄ちゃんに救われたのだと知る。
「みっ、瑞希お兄ちゃん!」
(私を庇ってくれたの!?)
「くっ・・・・」
戸惑いと感動と、近くで聞こえた瑞希お兄ちゃんのうめき声。
温かいと思うと同時に、瑞希お兄ちゃんの手足が私に絡みついていることに気づく。
横抱きの姿勢で、瑞希お兄ちゃんに抱きしめられていた。
それで確信する。
(瑞希お兄ちゃん、身をていして、私を守ってくれたんだ・・・!)
「み、瑞希お兄ちゃん!」
「り、ん・・・」
ガバッと体を起こすのと、そんな私に瑞希お兄ちゃんが顔を向けたのは同時。
「りん・・・・!」
「―――――――あ?」
チュッ!
半目状態の瑞希お兄ちゃんの顔が、私の顔にあたる。
・・・・いや、そうじゃない。
正確に言おう。
お互いに、顔を近づけあった結果――――――
(ほっぺにちゅぅぅぅぅぅぅうううううう――――――――――!!!?)
私の片頬に、瑞希お兄ちゃんの柔らかい唇が触れた。
(うっ、ああああああああああああああああ!!!)
接触時間、約3秒。
それで私の頭は沸騰(ふっとう)する。