彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
思わぬ幸運、棚からボタ餅のような現象に私のテンションは上がる。
初キッス!初キッスー♪
(瑞希お兄ちゃんとキッス!瑞希お兄ちゃんとキッス!瑞希お兄ちゃんとキッスゥゥゥ!!)
キスできた事実に感謝。
一歩前進した恋愛事情に狂喜(きょうき)!!
〔★しかし、完全な事故だった★〕
「り、凛・・・!」
「ひゃ、ひゃい!?」
そうやって喜んでいたら、急に名を呼ばれた。
まとめに返事できない。
それでも、瑞希お兄ちゃんは何度かまばたきした後で言う。
「怪我、ないか・・・・!?」
「はっ・・・はいっ!!」
明らかに、ボロボロの姿で聞いてくる瑞希お兄ちゃん。
(自分よりも、私を優先してくれるなんて!)
「瑞希お兄ちゃんごめんなさい!僕を助けるためにっ!?」
「うぐぐ・・・凛・・・無事か・・・!?」
「ぶ、無事ですよ!瑞希お兄ちゃん、僕を助けたばっかりに、こんな・・・!!」
「ばか・・・言っただろう・・・?凛の面倒は、俺が見る・・・凛を守るって・・・・・・?」
「瑞希お兄ちゃん!?」
愛しい人からの甘い言葉。
感動と感激が押し寄せ、強烈なめまいが起きる。
「おーい、大丈夫かお前ら!!?」
そこへ、慌てた様子の烈司さんが駆け寄って来た。
「れ、烈司・・・!」
「大丈夫か!?平気かっ!?」
「ああ・・・」
これに、安心したように瑞希お兄ちゃんが息をつく。
「ははは・・・り、凛を守れて、俺に・・・・悔いはない・・・!」
ガク!
そう言い残して失神する瑞希お兄ちゃん。
「瑞希――――――!!?」
そんな親友を抱き起し、烈司さんは彼の名前を絶叫する。
私を守って燃え尽きた瑞希お兄ちゃん。
同時に、私も限界を迎えた。
「ふふふ・・・・俺も、悔いはないで、す・・・・・!」
ガク!
初キッスに、頭に血が上りくらくら来ていた。
それだけ伝えて、私も意識を手放す。
「って!?お前はなんでだぁぁぁ――――――――――――!!?」
瑞希お兄ちゃんと一緒に抱き起してくれていた私に、烈司さんがツッコむ。
「凛たんお前!瑞希にかばわれて、怪我してないだろう!?落ちる要素がねぇじゃねぇかぁぁあ!!?」
・・・・うん、もっともだ。
でも、甘いですね、烈司さん。
(瑞希お兄ちゃんの魅力に、や・ら・れ・た・の・さ~☆)
そんなことを考えながら、目を閉じる。
お手伝いで疲れていたこともあって、瑞希お兄ちゃんの腕の中で私は眠りについた。