彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
◆ノンストップ!恋も非行も、前途多難!?
ざわざわと、静かにその話は伝わった。
「あの『龍星軍』が、『凛道蓮』って奴を4代目総長にして復活するらしいぜ。」
若い男女の間で、有名暴走族の話がささやかれる。
ー龍星軍(りゅうせいぐん)ー
『悪のゴレンジャー』と言われる真田瑞希を総長に発足された喧嘩と走りのチーム。
彼らの活動期間は、5年。
ヤンキーとしては、長期の活動。
それゆえに、武勇伝は数知れず。
彼らを慕う者、目指す者は多かったが、特定の相手を『後輩』だと公言することはなかった。
ただ、彼らの解散後・・・真田瑞希達が目をかけていた少年達に2代目を譲った。
名を売ることが、1番になって、目立つことが好きな者達からすれば、金メダルを与えられるに等しい栄光。
しかし、2代目達の時代は短く、その後に続いた者の末路も哀れ。
けっきょくは、初代総長である真田瑞希がチームの旗を取り上げて、強制終了となった。
『二度と復活しない。』
そう言われ、伝説になると思われていたチームが・・・
「真田さん、『龍星軍』を任せられるだけのガキを見つけたんだってよ。」
「円城寺か?」
「いや。あいつじゃない。」
「どんな奴だ?」
「それが、全然見たことないガキだって。マスクで顔覆ってて、面がはっきりしねぇーとか。」
「そいつが『羅漢』の庄倉さんをオシャカにしたんだろう?あの人倒すとか、大穴本命もいいとこじゃんか?」
「誰よ、そいつ?」
「だから、俺にもわからねぇんだよ。」
「ばーか!俺らにだろう!?誰にもわからないんだろう―が・・・?」
「誰も正体を知らない、陰の実力者かよ・・・!?」
「おもしれぇ・・・!ヤバいことになってきたな・・・!?」
「ああ・・・一度、勝負するっきゃないだろう・・・!?」
ざわざわと、根も葉もない噂が立ち込める。
広がる伝説チームの話題。
凛の知らないところで、一人歩きする話。
噂される方も、する方も知らない。
凛が知るのはまだ先のことだが・・・。
邂逅(かいこう)へのカウトダウンは始まっていた。