彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
瑞希お兄ちゃんと空を飛んだ一週間後。
「やってやるっ!!」
夕焼けの空のもと、私はリベンジを誓っていた。
「凛、気合入ってるな!?」
「えへへ!もちろんですよー!」
そんな私の隣で、瑞希お兄ちゃんが笑う。
自然と、その口元へと視線がいく。
「前回は、俺のせいで事故らせたけど・・・今日はバッチリサポートするからな?」
「とんでもございません!瑞希お兄ちゃんからの事故なら何度でも!!」
(瑞希お兄ちゃんとチュー♪できるなら、何度だってバイクで飛びます!!)
〔★そんな理由で、命を危険にさらしてはいけない★〕
「おいおい、冗談でもそんなこと言うなよ?凛に何かあったら、俺も嫌だからよぉ~」
「え!?あ、ありがとうございますぅ~!」
嬉しいことを言われ、浮かれる気持ち。
にやける口元と目元を引き締めながら、私は愛しい人に誓う。
「大丈夫です!今日こそは、瑞希お兄ちゃんにいいところを見せたいと思います!」
「コイツ、可愛いこと言いやがって~!よし、その意気だ!」
「はぁい!!」
ぐっと親指立てながら言う相手に、にやける顔でうなずく。
そして、次の瞬間・・・
ズシ!!
「うはっ!?」
体の重力が重くなった。
「わはははは!意気込みって言うよりも、オメーの場合は『瑞希病』だろうが、凛助!瑞希相手に、デレデレしてよぉ~」
「みーちゃんばっかり、凛ちゃんを独り占めしてずるーい!凛ちゃ~ん、モニカちゃんのところにもおいでー!」
「お・・・重いですよっ・・・!」
私にのしかかる野獣とオネェさん。
「やれやれ・・・完全にピクニック気分だな。」
「まぁ、飯も用意してきたから似たようなもんだろう?」
その背後で、淡々と話す読書と煙草が好きな人。
つぶれそうだと思った時、愛しい声が響き渡る。
「ばっきゃろー!凛から離れろ、皇助!モニカ!つぶれるだろうー!?」
「み、みずきおにぃちゃーん!」
「わはははは!出たぞ―過保護が!前世は親子か~」
「じゃあ、あたしが凛ちゃんをもらう時は、みーちゃんに挨拶に行けばいいのね?ねぇーお父さん!?」
「親父じゃねぇけど、オメーになんか凛はやらねぇーよボケ!ーーー凛、大丈夫か?」
私を騒がしい2人から引きはがすと、優しく気遣ってくれる瑞希お兄ちゃん。
「族は縦社会とは言え、オメーは俺の弟分みてぇなもんだ。遠慮なく頼れよ?」
「あう!そ、そのお言葉だけで十分です・・・・!」
乱れた髪を、好きな人の手で直してもらえる幸せ。
(ホント、急展開だったなぁ~!)