彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
その人は、私が泣き止むまで、私を膝の上であやしてくれていた。
1人でコンビニの自転車置き場に座っていたのだけど、今は1人じゃない。
「よしよし。いい子、いい子。」
私と知らない人の2人。
いつもなら、知らない人について行ったり、近づいたりしたらいけないとわかっていた。
近寄ってきた人を簡単に信じるのは危ない。
だから簡単に信じてはダメだと言われていた。
でも、この人は違う。
夜の街、少ない通行人がこちらを見るが、なぜかすぐに視線をそらしてそそくさと立ち去る。
それに違和感を覚えたところで、私の涙は止まっていた。
同時に、布を差し出された。
「ほら、使え。」
「あ、ありがとう・・・」
彼が首に巻いていた布を渡してくれた。
バンダナのようだった。
洗剤の香りもしたが、サビ鉄のようなにおいもした。
でも、気にはならなかった。
それよりも、目の前の人が気になった。
改めて、相手の顔を見る。
ふんわりとしたブラウンのショートヘア。
ぱっちりとした優しげな瞳。
細身でいて、筋肉質な体。
すっと通った鼻筋に、うっすらと赤い唇。
本当にその人は・・・
「可愛い・・・」
「は?」
TVや雑誌で見るモデルのように綺麗で愛らしかった。