彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「~~~~~烈司とは、幼馴染で・・・マジで一緒に暮らしてたんだ・・・」
「ええ!?」
「この際だから、話すわ・・・・」
驚く私に、首を前に戻しながら彼は告げる。
「俺、親がいないんだよ。」
「・・・・・・・え?」
いつもと変わらぬ口調で、さらっと言う瑞希お兄ちゃん。
「え・・・・?」
オヤガ、イナイ?
「おやが・・・いない?」
頭の中で繰り返し、言葉としてもつむいだ事実。
「そうだ。」
それに変わらぬ口調で彼は言った。
「俺の親・・・両親はさ、死んじゃっていなかったんだ。たまたま、近所に住んでた烈司と仲良くなって、烈司の親にも気に入られて、面倒見てもらったんだよ。」
「はあ!?え?じゃあ・・・烈司さんとは完全に・・・!?」
「赤の他人だ。」
バイクミラーに映る表情から、相手の気持ちは読み取れない。
それでも、冗談でしている話じゃないと分かった。
「烈司の親父さんとおふくろさんには、マジで感謝してる。テメーの家の子供だけでも大変なのに、俺なんか面倒見てくれてよ・・・!」
「そうだったんですか・・・」
「・・・だからさ・・・凛が両親ともめて家出したって聞いて・・・すっげーシンクロした。」
「え?」
「俺と立場は違っても、親のおかげで迷惑する子供っているんだなって・・・思った。」
「瑞希お兄ちゃん・・・」
(そんな風に、思っていてくれたんだ・・・)
確かに、私は両親の板挟みが嫌で逃げた。
そんな私を助けてくれたのが瑞希お兄ちゃんだ。
(もしかしたら・・・?)
「瑞希お兄ちゃんが、僕に優しかったのはそのためですか?」
「・・・あ?」
「僕が・・・・両親のことで、嫌なストレスがたまって家出したって言ったから・・・助けてくれたの?かまってくれたの・・・?」
「・・・関係ねぇーよ。」
気まずい思いで聞けば、意外とはっきりとした声で返された。