彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
読んでいる月刊マンガの読者モデルの子よりも可愛い人。
私の言葉に、困り顔で口を開く。
「可愛いって・・・これか?」
そう言いながら彼が見せたのは、腕につけたブレスレット。
「ウサギだ!」
「ツレに、ウサギ年がいるんだよ。」
手を伸ばして触れば、手首から外して私の手に乗せてくれた。
「そうだよな~ちっちゃい子は、こういうのが可愛いもんなぁ~?」
「えっ!?あ・・・うん・・・」
・・・どうしよう、言えない。
(まさか、この『お兄ちゃん』が可愛いだなんて・・・)
そうたそがれて、ハッとする。
(待って!本当にお兄ちゃんかどうか、確かめたわけじゃないじゃん!?)
今触れている胸は、確かにペタンコでふくらみがない。
でも、世の中には貧乳というステータスもある!
パッと見としゃべり方で、お兄ちゃんかな?とは思ったけど、聞いたわけじゃない。
確認もしてない!
服装も・・・
「・・・お兄・・・あ、いえ。変わった服だね・・・」
お兄ちゃんと判断するのはよくなかったので、気になったことだけ聞いた。
これに相手はニコニコしながら言った。
「あははは!そうだな!『特服(とっぷく)』は、変わってるかもな~」
そう言って、自分が着ている白い服をつまむ。
ジャンバーのような上着と、作業現場の人が履いてるようなシュッとしたズボン。
そして、長いブーツのような黒の靴を履いていた。
よく見れば、腕にも字が書いてある。
四文字ぬわれている。
「・・・ふ・・・なに自由?2番目の漢字はなんて読むの?」
「『き』だよ、『羈』。『不羈自由(ふきじゆう)』て読むんだ。」
「意味は?」
「んー誰にも束縛されねーって意味。」
「反対側の腕にも書いてるのは?見たことあるけど・・・?」
「ああ、こっちの方が、ポピュラーかもな。『百鬼夜行(ひゃっきやぎょう)』って入れてる。」
「え?妖怪やお化けの群れのこと?」
「それそれ!くわしいなー!?お兄さんは、夜中に徘徊(はいかい)するからさ~良いネーミングだろう?」
「・・・・うん。」
笑顔で言う相手に、私は歯切れ悪く返事した。
「あ!わりぃ・・・怖かった?」
「・・・そんなことないよ・・・」
「嘘つけ!明らかに声のトーン変わったぞ?お化け嫌いだったか?」
「そうじゃないよ・・・」
怖いわけではない。
ただ単にー・・・