彼は高嶺のヤンキー様(元ヤン)
「はぁーあ!よくわかんねぇけど、めでたし、めでたしって、やつかよ?」
「カ、カンナさん。」
瑞希お兄ちゃんに身を任せたまま彼女を見れば、苦笑いしていた。
カンナの言葉に、他の2人も口々に言う。
「これで一件落着っすね!?モニカ先輩―?」
「そうねぇー・・・・チッ!凛ちゃんが帰って来たからいいものの・・・!みーちゃん!凛ちゃんの独占は禁止よ!?」
「お前はそればかりだな、モニカ。まったく、過保護な奴らだ・・・」
「うっせぇな!文句あるなら関わるなよ!」
「やーよ、凛ちゃんが大好きだもん!イオリンだって好きよね~?」
「そんなことはどうでもいい。それよりも、凛道。」
「は、はい?」
モニカちゃんの質問をスルーすると、瑞希お兄ちゃんにヨシヨシされている私に、いつもの無表情で獅子島さんが言った。
「お前、瑞希を乗せて走れるようになったのだな。」
「え?」
言われて気づく。
「あ。」
「そーいえば・・・」
思わず瑞希お兄ちゃんを見れば、彼も私を見ていた。
「凛、俺を乗せて・・・・」
「僕、瑞希お兄ちゃんを乗せてー・・・・」
「「飛ばずに走れた!!」」
重なる2つの声。
「やったー!」
「やったな、凛!!」
どちらともなく、お互いを抱きしめ合う私と瑞希お兄ちゃん。
「やったーやったー!ちゃんと乗せれた!」
「うんうん!やったな、凛!どうだ、伊織!見たか!?」
私を抱き上げて飛び上がりながら、瑞希お兄ちゃんがドヤ顔で獅子島さんに言う。
「凛は、俺を乗せても飛ばなかった!事故らなかった!花丸満点の合格だろう!?」
「ああ、そうなるな。」
「聞いたか、凛!?合格だぞ!」
「はい!ありがとうございます!」
「えらいな凛は~いい子だな~!?やればできる子は、素直だから可愛いなぁ~」
「や、やだ~!可愛いなんて、そんな!!」
「あははは!何照れてんだよ、危ないなお前は~?こいつめー!」
「あう!?」
照れていれば、指でほっぺをつんつんされた。